【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

5.

 アルヴィスの裁判がセーナス王国で開かれ、彼は流刑に処された。アルヴィスに近かった者たちも帝国内で裁かれ、同様の処罰を受けた。
 しかし、彼らは流刑地への移動中に病気で命を落としたらしい。それがどういうことか、リネットにはよくわからない。
 一方リネットは、ラウルとの結婚を進めるため、身分をただのセーナス王国民からスサ小国の王女へと戻していた。
 セーナス王国で魔法師として居続けたい彼女は反対したが、スサ小国や他の帝国の属国だった国がセーナス王国の友好国として認められ、友好国の者であればセーナス王国の魔法師になれると法律が変わったからだ。特にスサ小国は魔力が残る国であるため、セーナス王国としても親好を深めたいようだ。
 そのため、リネットは今もセーナス王国の魔法師として活躍している。
 さらにラウルは、キサレータ地区を取りまとめる代表に任命され、同時に大公位を授かった。
「っていうか、なんでラウルさんが?」
 それがリネットの率直な疑問だったが、彼が今の国王の年の離れた弟だという事実を聞かされたときには、やはり目が点になった。複雑な出自であるが、できるだけ現国王と関わらないようにするため、ハリー伯爵家に預けられることになったのだ。そのためラウルとしては王位とか王族とか、そういうものには興味がなかったようだが、リネットの身分が戻ったためそうもいかなくなったらしい。
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