【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 セーナス王国の王弟とスサ小国の王女の結婚となれば、反対する者など誰もいない。
 二人の結婚式はセーナス王国内で盛大に執り行われた。スサ小国からはリネットの両親はもちろん、結婚した兄や姉も駆けつけてくれた。久しぶりに家族と再会し、リネットは胸がいっぱいになった。両親や兄姉たちは、人質のようにして帝国に取られたリネットを案じ、後悔していたせいか、顔を合わせたと同時に謝罪の言葉をかけ、それからこの結婚を心から喜んでくれた。
 ラウルは国王の顔を見ただけで目をすがめ、互いに言葉はない。むしろ、ハリー伯爵が大粒の涙を流し、それを息子のイアンがなだめる姿が印象的だった。
 結婚式で舞った花吹雪は、ブリタが魔法で出してくれたもの。
「こういう魔法の使い方平和でいいね」
 エドガーは相変わらずだが、彼は当分は結婚するつもりはないようだ。今でも御用達の娼館に足を運び、至福のひとときを楽しんでいるとか。
 ヒースには新しい彼女ができ、毎朝一緒に猫に餌をやっているようだ。
 シーナとモアは今のところ結婚の予定はなく、バリバリ働くつもりだと言っていた。リネットもその姿勢に賛同したいところだが、ラウルの視線が怖いため、彼女たちとはほどよい距離感を保っている。
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