【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「ほら。水だ。自分で飲めるか? それとも俺が飲ませるか、口移しか……」
 そういうことをさらっと言ってしまうのがラウルなのだ。
 毎日「おはようのキス」をする必要もなくなったのに、それでも毎朝のようにしつこいキスをしてくる。さらに「おやすみのキス」と「いってらっしゃいのキス」と「おかえりなさいのキス」と、何かと理由をつけてキスを繰り返すから、呪われていたときよりも回数が確実に増えている。そのどれもが、しつこい。
「自分で飲めます」
 ラウルと顔を合わせないようにして、グラスを受け取った。ゴクリゴクリと水を飲んでも、心臓はトクトクと高鳴り続ける。
「ふぅ……」
 グラスの半分ほどの水を飲み干し、息を吐く。
「リネット……俺がこの日をどれだけ待ち望んでいたか、わかるか? これで君を堂々と『俺の妻だ』と言える」
 結婚する前までは「俺の婚約者だ」と声高らかに言っていたので、結婚したからといってもその本質は変わらない。
「では、私も堂々と『私の夫です』と言えばよろしいですか?」
「だから、そういうところだ。君は……無自覚に俺を煽ってくる……俺がどれだけ我慢を……」
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