【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
エピローグ
 リネットとラウルが結婚式を挙げて一か月が経ち、キサレータ地区での生活にも慣れてきた。
 ラウルはまず、昔からキサレータ地区で続いていた後宮制度を解体した。それからアルヴィスがため込んでいた財宝などを確認し、しかるべきところへ返している。どうやらアルヴィスは、属国からも貴重な宝を献上させていたようで、この確認が大変だとラウルがぼやいていた。
 リネットはラウルの妃というよりは、魔法師として動いているほうが多かった。魔法具の指導や薬草の栽培指導、そして魔法師の育成。そこには、スサ小国から来た魔法師の姿もあり、アルヴィス政権によって貧しい生活を強いられた元帝国民の生活立ち直しに協力している。
 ラウルとリネットがキサレータの人々に受け入れられるか不安だったが、むしろ歓迎してくれたのは、それだけアルヴィスに対する不満が高まっていたからだ。ある意味、アルヴィスに感謝したい。
 そうやってキサレータ地区のために奔走して三か月が経った頃、リネットは執務室でキサレータ地区の呪いについてまとめていた。調べれば調べるほど、この地区には呪いが点在している。呪い事典に載っているのはほんのひと握り。
 地区全体に展開されていた「アレがもげる呪い」をはじめ、「十日おきに足の小指をぶつける呪い」とか「外を歩けば必ず犬の糞を踏む呪い」「砂糖だと思ったら塩だった呪い」「二十歳すぎると頭髪が薄くなる呪い」など、小さな呪いが各地にかけられていた。
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