【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 ただ、呪いの対象者にも条件があり、その地区に住んでいても条件にあてはまらなければ呪いは発動しない。そしてその条件にあてはまるような者は、あまり存在していなかったと思われる。だから、これらの呪いは知られていないのだ。
 これも、昔のキサレータ帝国のやり方に反発した民族や部族たちがかけたもののようだ。
 しかし呪いは呪い。今は悪さをしていなくても、何かをきっかけに発動する恐れがある。
 ちなみに「アレがもげる呪い」は、ラウルが後宮を解体したことで解けた。
 リネットは、これから計画的にこれら呪いの解呪を行おうと考えていた。
 ――ドンドンドンドン!
 勢いよく扉を叩かれ、リネットは「どうぞ」と声をかけた。こんな扉の叩き方をするのはラウルしかいない。
「リネット。大変だ」
 慌てて部屋に入ってきたのは、やはりラウルだった。
「どうされました? また猫を拾ってきたんですか? 後宮が猫御殿と呼ばれているんですよ。拾ってくるなら、さっさと飼い主も探してください」
「ちがう、そうじゃない」
 ラウルの視線は、自身の股間に向いている。リネットもつられて、ついそこを見やる。
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