【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 そしてその猫の世話をしているのがヒースなのだ。ラウル自ら世話をすると言っていたが、それでは団長の執務が滞ってしまう。むしろ執務をやりたくないがために猫の世話をすると言い出したのでは? と思ってしまうほど。
 とにかく今、副団長のヒースの仕事には猫の世話も含まれていた。
 そんな第七騎士団に転機が訪れたのは、ヤゴル遺跡への派遣依頼だろう。
 ヤゴル遺跡とはセーナス王国の北に位置する古の遺跡だ。何百年も前に滅んだ部族が住んでいた場所とも言われているが、今では埋蔵文化財包蔵地に指定されている。ここには定期的に研究者や調査官などの文官たちが派遣され、発掘調査が行われていた。
 そのヤゴル遺跡が荒らされたと、王国騎士団に通報が入った。こういった地方の初動に当たるのは第七騎士団の任務である。状況を確認し、その後、どこの騎士団、もしくは魔法師を派遣するが決められる。
 そのためラウルはヒースをはじめとする第七騎士団の面々を連れてヤゴル遺跡へと向かった。留守中の猫の世話は、他の騎士に任せた。
 現地では、調査員たちから状況を確認し、荒らされた場所、状況など現場確認を行う必要がある。
 ラウルも現地調査責任者に連れられ、ヤゴル遺跡へと入った。今回のヤゴル遺跡での調査は、数百年前の儀式に使われた宝物が埋められたと思われる場所の発掘作業だった。
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