【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 ラウルが手にしていた木箱は、地面に転がった。それを手にしたのは調査責任者だ。
「これは……当時の呪具です。これは危険だからと、別に管理していたはずなのに。この箱の中には呪いが閉じ込められていたんです……だからこれは封印されていたはずなのに……くそっ、誰かが盗んで封印を解いた……」
 責任者は声に悔しさをにじませ、倒れたラウルを青ざめた顔で見下ろす。
「呪い? 封印? 団長はいったいどうしたのですか……?」
 ヒースが責任者に問い詰めると、彼は「おそらく呪いを受けたと思われます」と悲壮感あふれる声で言う。
「呪いを受けた?」
「そうです。この箱には呪いが閉じ込められていた。だから、簡単には開かないようにと封印がしてありました。どういった種類の呪いであるかはわからないため、慎重に魔法院へ運び、そちらに解析依頼を行う予定でした。しかし誰かが封印を解き、中に封じられた呪いが解放されたようです」
「そのため、団長が呪いを受けたということですか?」
 ヒースの問いに、責任者はゆっくりと頷く。
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