【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 ラウルがどこかに向かうのを感じたが、やはり半分眠っているリネットにとってはどうでもいい。散歩やご飯よりもとにかく今は眠っていたい。
 騎士団長の私室ということもあり、ソファは驚くほどふかふかだった。もちろんクッションも。いつもリネットが使っているベッドよりも快適かもしれない。二度寝しようとしたのに、毛布を奪われ、ベッドまで追い出されたら、ここで寝るしかない。
 昨夜は、ベッドが一つしかないというのもあって、ラウルと一緒に寝てしまったが、このふかふかのソファであれば、一人で眠ってもいいのではと思えてしまうほど。
「リネット。着替えはこれでいいのか?」
「……はい」
 寝ぼけているリネットにとって、ラウルの声は雑音のようなものだ。だから適当に返事をしておけばいい。
「着替えさせるぞ? いいのか?」
「……はい」
 ラウルのまとう空気が変わったような気もする。だけどそんなことはリネットに関係ない。とにかく眠い。眠いというのに、すぽっと頭から何かをかぶせられた。
< 54 / 339 >

この作品をシェア

pagetop