【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 リネットはぱっとラウルの手を離して、その場にしゃがみ込む。
「ヒースさん。私も猫ちゃんにご飯をあげたいです」
 小さな猫が一匹、ヒースの手から餌を食べている。他の猫は、お皿に顔を突っ込んでがつがつと食べているというのに。
「この子、警戒心が強いといいますか。こうやって、手からしか食べないんですよね」
 リネットもヒースの真似をして、手のひらの上に餌を置いてみた。
 するとヒースの餌を食べ終えた猫が、今度はリネットの手のひらに顔を向け、鼻を寄せてひくひくとにおいを嗅いでいる。
「食べて、食べて」
 そんなリネットの思いが通じたのか、猫がカリカリと餌を食べ始めた。
「やった。食べてくれました」
 リネットが喜んでラウルに視線を向けると、彼も満足そうに目を細めている。
「これから、君がこの子に餌をやってみるか?」
 ラウルの提案に、リネットは目をぱちくりとさせた。
「猫に餌をあげる。そういった目的があれば、君も早起きができるかと思っただけだ」
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