【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

4.

 朝の散歩を終えたリネットは、ラウルからもらった帽子を丁寧に衣装かけにかけた。
 ラウルの呪いは気の毒ではあるが、今のところ緩和方法が「おはようのキス」しかないのだから、耐えてもらうしかない。それなのにリネットを気遣って、贈り物をしてくれた気持ちがどこかくすぐったかった。
「ほら、食事に行くぞ!」
「え?」
「お腹が空いただろう?」
 ラウルは爽やかに笑ってそう口にするが、リネットはさほどお腹が減っていない。もともと食べる量が少ない燃費のいい身体をしているのだ。
「いえ、私は後で……」
「そう言って、朝食を抜くつもりだろう? 君は身体が細すぎる。それではすぐに病気になってしまう」
「それは……」
 悔しいことに言い返せない。病気とまではいかないが、疲れやすいため基本的には外に出ない。魔法院の自室と研究室の往復と、たまに食堂へ行くくらい。
 だから、朝から散歩はリネットにとって大仕事だった。しかも猫と出会って興奮してしまったから余計に疲れているのだ。
< 70 / 339 >

この作品をシェア

pagetop