【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 よくよく見れば、目の下にはうっすらと隈ができているし、顔色も白い。彼女が昨日、何時に寝たのかよくわからない。目的を果たした今、無理やり起こす必要はないだろう。
 ブリタに礼を言い、ラウルはリネットの部屋を後にしたのだが、その日は彼女の姿が脳裏にちらついて離れなかった。
「今日は朝からリネットさんとの仲を見せつけて……やはり、あの噂のせいですか?」
 ヒースの言葉で我に返るものの、彼が言う噂に心当たりはない。
「噂? なんだ?」
「いや。団長とリネットさんが恋人同士だと。だから二人は一緒に暮らし始めたっていう噂ですよ。まぁ、噂というよりは、半分事実ですけどね!」
 事実でない部分があるとしたら、それは二人が恋人同士という点だろう。
「なんでそんな噂になっているんだ……」
 山のような書類を目の前に、ラウルは頭を抱え込む。
「昨日、団長が魔法院からリネットさんを連れ出したからですよ」
「俺がリネットを連れ出した?」
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