【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 そこでリネットは思わず噴き出した。
 ウザい。ラウルを表現するのにぴったりの言葉だ。見目もよく地位があっても、ウザい男は嫌がられるようだ。
 昨夜からのラウルの行動を振り返っても、ウザいというのはよくわかる。
 今だって、放っておいてほしいのに、昼ご飯を食べろとわざわざこんなところまでやって来たのだ。
「私が言いたかったのは、私のような人間が、団長さんの相手としてふさわしくないということだったんです。私と団長さんは事故のようなもので、キスをする関係になってしまいましたが、何も無理して恋人関係を演じる必要はないと。それによって、団長さんに不利益が生じるのでは、というのを懸念しておりました」
「むしろ俺にとっては利益しかない。さっきも言ったように、特定の女性と特定の関係になったことはないからな」
 ラウル本人がこう言っているのであれば、リネットの心配事など杞憂なのだろう。
「そうですか。団長さんが問題ないのであれば、私としても問題ありません。呪いが解けるまでは、私たちの関係は恋人同士ということにしておきましょう。そのほうが、周囲からも変な詮索をされずに済みそうですしね」
 ラウルがふっと口元をゆるめた。
「ご協力感謝する」
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