義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
 息が止まるほどの沈黙。
 二人の間に、風が吹き抜ける。
 いつもの、朗らかな姉さんの顔じゃなかった。
 どこまでも本気で、どこまでも、兄さんを──。

「……わかった」

 俺は、ゆっくりと姉さんに近づいて。
 少し小走りになって、姉さんに追いついた。
 遠くで、イルミネーションが淡く光っているのが見える。
 誰かの幸せを飾る光だ。けれど──俺たちとは、たぶん関係ない。
 
 姉さんが逃げないように、手を握ってみたけれど、それが振り払われることはなかった。 
 これは赦しじゃない。さしずめ、終身刑の判決だ。
 でも。
 そばにいられるなら、それでいい。
 触れられない苦しみも、罰としては十分すぎる。
 ……ただ、もし。
 もしも、どこかで俺が間違えてしまったら。
 手が伸びてしまったら。
 この愛を最後まで抱きしめてしまったら。
 そのときは、一緒に行こう。
 兄さんのところへ。
 姉さんも、俺も、二人で。
 それがきっと、いちばん美しい終わり方だろうから。


ー 完 ー
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