義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
 宝堂家に平和が訪れた。
 ある日、義姉ができた。雪の降っていた日だった。
 父さんと、軽井沢さんが連れてきた、俺より二歳年上の女の子。
 両親を事故で亡くして、ここに引き取られたらしい。
 
「な、菜月……です。よろしくお願いします」
 
 おとなしそうで、人見知りな義姉は、ぺこりと可愛らしくお辞儀をした。
 兄さんは、また兄弟ができて戸惑っていたけれど、俺は素直に嬉しかった。
 出会った時から、俺にとって兄さんは道を照らしてくれる月明かりのようで、
 そして姉さんは、春の匂いがする太陽のようだった。

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