義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
 いつからだろう。俺は姉さんのことが好きになっていた。
 でも、兄さんと姉さんが実は思い合っているということが、なんとなくわかって、俺は一歩引いていた。
 俺はいつ宝堂を離れても大丈夫なように、グループとは関係のない職についた。
 モデル兼動画配信者。そこそこ売れて、雑誌にも載るようになってきた。
 宝堂の次男が芸能界入りともなれば、一時期スクープにもなった。
 それを嗅ぎつけたあいつ──茉莉乃が、また接触してきた。
 
「ねぇ、あんた随分と稼いでるんじゃないの?」
 
 茉莉乃は姉さんの存在を知っていた。
 姉さんを脅しに利用して、俺に金銭を求めた。
 俺は毎月、茉莉乃に金銭を渡した。姉さんを守るために。
 
「ねぇ、あんたさぁ。菜月ちゃんのこと好きなんでしょ?」
「──は?」
「結婚しちゃいなさいよ! そしたらさ! 宝堂グループも半分くらいあんたのものになるじゃない!」
 
 なぜこいつは、さも当然という顔をしていられるのだろう。
 心底吐きそうだった。
 こいつは。
 俺を道具としか思っていない──。


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