幼なじみの、隠しごと。
大きく手を振りながら言うリノちゃんに、小さく手を振りかえして返事をする。

リノちゃんはさっそく叶の方に走っていき、叶に話しかけた。

遠くて、声は聞こえない……

でも、リノちゃんの嬉しそうな顔が見えて、きっと楽しく話してるんだろうなぁと思う。

……ちくり、と胸が痛んだ。

なぜかモヤモヤして……見ていたくないって、思ってしまう。

……きっと、邪魔しないほうがいいよね。

そう考えて、私は痛む胸を無視しながら、荷物を持ってスタジオを一人で出た。

……寂しい、なぁ……

いつも繋いでる手は空いていて、どうしても冷たく感じてしまう。

ずっと叶がいることに慣れていたからかな……叶がいないことに違和感を感じる。

……そろそろ、叶と離れたほうがいいかもしれない。

叶が私を好きっていうのも……きっと、ずっと一緒にいるから勘違いしてるだけだ。

離れたら、気づくはず……私が好きだってことが、勘違いだって。

そう考えていると、腕にポトリと雫が落ちた。

そして、次々に空から雫が落ちてくる。

慌てて傘をさすけど、少し濡れてしまった。

……でも、これでいいかもしれない。

傘はさしたはずなのに頬を伝う雫は、少しだけしょっぱかった。




◇◆◇
< 28 / 65 >

この作品をシェア

pagetop