天敵スズメバチ王と政略結婚しましたが、食べられそうなのは私の心です 〜溺れるのは蜜か毒か〜
「うん? 我らが活動できない冬季間に、蜜をくださるんでしょう?
ありがたいことこの上ないですよ!」
あっけらかんとガハハと笑った。
「それに王が選んだならそれで十分です。
私たちは命令に従うし、ありがたいことにはちゃんと感謝だってしますよ、王妃さま」
カミリアは思わず目を見張った。
この種族が、こんなにもさっぱりとした気性だと思わなかったから。
そして──
案内の最後、回廊に戻ったところで、ルーラがパンっ!と手を打つ。
「さーて! 案内はここまで! 今夜は婚姻と歓迎の宴ですよ!」
「え……今夜?」
「ええ! ばっちりおめかしして、
毒の宴に甘さを振りまいてくださいねっ!お着替えとお化粧、手伝いますよっ!」
にこにこ笑うその顔は、今朝よりもずっと優しく見えた。