天敵スズメバチ王と政略結婚しましたが、食べられそうなのは私の心です 〜溺れるのは蜜か毒か〜

「ご安心を、王妃様。ああ見えて、
皆とても単純です」
「単純……?」
「良いものは評価し、強い者には敬意を。
それが我らヴェノミールの気質ですから」



ルーラの声は、天敵スズメバチとは思えないほどあたたかく、力強かった。


「……ええ。ありがとう、ルーラ。
きっと、認めてもらえるように頑張るわ」


カミリアとルーラが笑みを交わした、
その時──


「ウオオオっ!!」


雄叫びとともに、兵士蜂たちが両手に
刃を振るい、剣舞が始まった。
燃えるような刃が火の輪をくぐり、
漆黒の翅が激しく唸る。


(これが、ヴェノミールの舞……!)


遠巻きに見守るカミリアの胸が高鳴る。
ミツバチの舞が"花への祈り"だとすれば、
これは"戦の咆哮"。

あまりの荒々しさに、言葉を飲んだ。


すると、ルーラが誇らしげに告げる。




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