天敵スズメバチ王と政略結婚しましたが、食べられそうなのは私の心です 〜溺れるのは蜜か毒か〜

「誰もあなたを傷つけませんよ。
我らは仲間のために毒をふるう民。
王の妃も、あなたの国も――すでに我らの一部です」


その言葉に、カミリアは少しだけ息をゆるめた。


そして料理が運ばれる。

クモの子の肉団子。
炙った火蜂の脚。
蜜漬け果実の燻製。


そして、フロライアからの献上品――
ミツバチ特製、黄金の花粉団子。
「蜜パン」とも呼ばれる甘味料理。


「なんだこれは……」
「甘い匂いだ」
「これが……ミツバチのメシ?」


怪訝な声があがる。
鼻をひくつかせ、顔をしかめる者もいた。



すると。



「……うまいな」





< 18 / 60 >

この作品をシェア

pagetop