MYSTIQUE
端正なルックス以外、接客には不向きなのではないかと誰もが思うほど、新は、にべもない。
「でもさぁ⋯⋯」
「いいんですよ。あんまり繁盛しすぎるより、暇すぎず忙しすぎない今が、我々には丁度いいから」
「ご主人もかなり二枚目だけどさ、奥さんが店に出たら、それこそ内地から遠路はるばる、取材が来そうなのに」
「取材?そんなことされたら大迷惑ですよ。妻が表に出ない本当の理由、吉田さんにだけ、こっそり教えましょうか?」
「なになに?」
「僕が物凄く嫉妬深いから、綺麗な妻のことは隠しておきたいんですよ」
新が真顔で言うので、吉田は面食らいながら、
「あ⋯⋯そう。それはごちそうさま」
「まだ食べてないでしょう。で?何にします?」
「じゃ、クロワッサンとアメリカン」
「はいはい。すぐお持ちしますから、あちらの席にどうぞ」
まるで客を追い払うかのように新は言うと、優雅な仕草でコーヒーを淹れる。
「でもさぁ⋯⋯」
「いいんですよ。あんまり繁盛しすぎるより、暇すぎず忙しすぎない今が、我々には丁度いいから」
「ご主人もかなり二枚目だけどさ、奥さんが店に出たら、それこそ内地から遠路はるばる、取材が来そうなのに」
「取材?そんなことされたら大迷惑ですよ。妻が表に出ない本当の理由、吉田さんにだけ、こっそり教えましょうか?」
「なになに?」
「僕が物凄く嫉妬深いから、綺麗な妻のことは隠しておきたいんですよ」
新が真顔で言うので、吉田は面食らいながら、
「あ⋯⋯そう。それはごちそうさま」
「まだ食べてないでしょう。で?何にします?」
「じゃ、クロワッサンとアメリカン」
「はいはい。すぐお持ちしますから、あちらの席にどうぞ」
まるで客を追い払うかのように新は言うと、優雅な仕草でコーヒーを淹れる。