ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
「破壊は、そんな簡単なものじゃないです。まず時間がかかる。

1~2分でできるものではないです。
それに、やるほうも相当な魔力と集中が必要です。

いくら天才と言われたオヤジでも、そんな短時間にやるのは無理でしょう」

父親がこの王になんらかの恨みを抱いて、
赤ん坊の王女に敵意を向けたというのか?

「もし、仮に赤ん坊にやったとしても、成長するにつれて自分の魔法陣が大きくなるから、
時間がたてば自己修復してしまいます。

オヤジほどの人が、そんなことを知らないはずはないです」

リアララは続けた。

「それにオヤジは・・・母が亡くなった時も、何の徴(しるし)もよこさなかったのです。

たぶん、事故か病気で、魔力がつきて、もうこの世に存在していない・・・と、俺は思っています」

「やはり・・・そうか」

王は、灰皿に吸いかけのたばこを押しつけて、火を消した。

「でも、君はヴァリエスタの直系で、優秀な魔法陣鑑定家だ。
ダメ元であっても、レスタを見て欲しい」

頭を垂れて懇願する王を、誰も見たことがないだろう。

そこにいるのは、ひたすら娘の身を案じる父親だ。

「鑑定だけなら・・・」

そう言ってしまって、リアララの口角が下がった。

魔術師が情に動かされた時、
それは相手に隙を見せることになる。

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