悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!
「おまえが大切だからだよ。もう二度と危険な目には遭わせない。一生俺が守る」


ざわっと廊下を歩きながら遠巻きに見ていた生徒たちが一瞬にして騒がしくなる。


「な…っ、なんの冗談…」

「ちょっとお兄ちゃん!乃愛のこと困らせちゃダメでしょ!」


人混みをかきわけてやってきた光莉が、ぎゅっと私の腕にしがみついてきた。


「…え?」


ただでさえ意味わからないことを言われて混乱しているというのに、もっと意味のわからない行動を取られて思考が停止する。


「光莉。いくら光莉でも乃愛は譲らないからな」

「嫌だ!乃愛は私と帰るの!」


あの“妹命!”で有名な宙が、珍しく光莉と火花を散らしている。

光莉のお願いを聞き入れないなんて、宙らしくない。

てか、なんなのこの状況は!?

光莉を助けたあの日から、なぜか二人に付き纏われるようになったのだ。
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