悪女の私がヒロインみたいに溺愛されてます!
この時期の二人はもうすでに美羽に夢中になっているはずなのに…。


「乃愛ちゃん…大丈夫?」


二人から板挟みを受けてどうしようかと頭を抱えていると、トイレから戻ってきた様子の美羽がおずおずと話しかけてきた。

美羽に対する嫌がらせはまだ続いているのか知らないけど、どこから回っているのか私が美羽をいじめているという噂が相変わらず流れていることから、美羽を守ろうとクラスメイトたちは私に近づかさせないように必死だった。

この世界では何もしていないのに濡れ衣を着せられていることに腹は立つけど、だんだんとどうでもよくなってきてしまい美羽のことも避け続けていた。


「誰?」


美羽と接点がなくなってしまった光莉が、訝しげに首を傾げていた。

もしかして私が美羽をいじめていないから、二人が美羽と出会わなくなってしまい私に興味が流れてしまっている…?


「…ただのクラスメイト。私がいじめている」

「…え?」


戸惑ったように腕を掴んでいた光莉の力が緩んだ隙に、するっと抜け出す。


「…私に関わらないで。私がどんな人間か知ってるくせに」


光莉も宙も、美羽だって、私が悪女だと知っているんだから。

そのうち離れていくくせに、近づいてこようとしないでよ。
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