幼馴染の恋の行方
 そろそろ、僕たちの事を知った先生たちが迎えにくるかもしれない。そんな風に思い始めた頃、友花里が足を止めた。

「……どうした、友花里? 足が痛むのか?」

 勇人は心配げに、友花里を見た。

「ち、違うの……未来にも言ってなかったけど、今日言おうって決めてたことがあるの。肝試しの時に……」

 僕はすぐに察しが付いた。

 友花里は勇人に告白するつもりだ。

「ゆ、友花里……僕は離れてようか?」

 勇人が友花里を受け入れるのも、友花里がフラれるのも見たくは無かった。僕は友花里の肩を離そうとした。

「いや、未来もいて。私、なんとなく気付いてたから……黙っててごめん……」

 勇人は今から何が起こるか、想像が付かない様子だった。何も言わず、友花里の次の言葉を待っている。

「私、勇人の事が好き。凄く好き。——でも、未来もだよね? 未来も、勇人の事が好きだよね? ——本当に最初は気付いてなかったの。ただただ、仲が良い友達なんだって思ってたから」

 勇人は驚いた顔で僕を見た。友花里が勇人を好きだと言った事より、僕が勇人を好きだってことに驚いたのだろう。

「友花里……どうして……」

 もちろん、驚いたのは勇人だけじゃない。僕だって、友花里がそんな事を言い出すなんて、想像もしていなかった。

「未来とは、ずーっと昔から一緒だったもん。——本当なら、もっと早く気付くべきだったのに。ごめんね、未来……」

 友花里の目からは、大粒の涙がポロポロと溢れ出した。

「……や、やめなよ、友花里。そんなの言い出したら、悪いのは僕の方じゃ無いか。ずっと、言えなかった……友花里が最初に、勇人を好きだって言ったときに、僕は黙ってた……」

 泣きたくなんか無かった。だけど、友花里の涙を見た途端、抑えることが出来なくなってしまった。

「……勇人も、勇人も好きだよね? 未来のこと。私のせいで、二人が苦しんでるんじゃないかなって、そう思ったの。だから今日、言わなきゃって……」

 勇人は一言、友花里に「ごめん」と言った。

 友花里は僕の胸で、声を上げて泣いた。
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