幼馴染の恋の行方
 夕食を終え、日が暮れると肝試しが始まった。晴天だったお陰か、満天の星空が広がっている。

「なあ未来、なんか思ってたのと違くね? 何て言うか、緊張感無いよな」

 同じ班の誠也(せいや)が言った。街灯が多く、一斉に出発することから、夜の散歩にしか見えない。

「ハハハ、確かにね。まあ、トラブルが起きたら学校も面倒だろうから、こんな感じになっちゃうんじゃない? ——じゃ、僕たちも出発しようか」

 僕たちB班の6人は、夜道を進み出した。


「——なあなあ。今日をキッカケに、付き合い出したりする奴いると思う?」

 隣を歩いていた誠也が聞いてきた。

「うーん、いるかもしれないね。気合い入れてる子、結構多いんじゃ無いかな?」

 少なくとも、友花里は気合い十分だろう。勇人はそれに気付くだろうか。

「未来はいないわけ? そういう、気合い入れたい相手とか」

 思わず、誠也の顔を見た。どうやら、真面目に聞いているようだ。

「どうだろう……自分でもよく分からない。難しいよね、男と女って」

「ハハ……気になってる奴くらいは、いるって事なんだな」

 誠也はそう言うと、前を向いて歩き出した。
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