幼馴染の恋の行方
「お、この横道面白そうじゃん! 流石に、ここ入るには懐中電灯必要なんじゃね?」

 誠也が指さした方向は、少し山手に入っていく道のようだった。街灯が無い上に、道が細い。さらに、この道はどこに繋がっているのか分からなかった。

「……いや、ここはダメでしょ。肝試しのルートじゃ無いよ、これ」

 同じB班の宏美(ひろみ)が言った。

 だが、誠也はどうしてもそのルートを通りたいらしく、6人で多数決を取ることになった。

 結果、反対したのは僕と宏美だけだった。


「やっぱ、他のグループでも来てる奴らいるじゃん。ほらあそこ、懐中電灯が光ってる」

 そのルートに入ってすぐ、誠也が言った。確かに、幾つか懐中電灯が揺れているのが見える。微かに笑い声なんかも聞こえてきた。

「ハハハ、確かにこれくらいの方が、肝試し感出るかもね。決まっちゃったからには楽しもっか!」

 宏美はそう言うと、僕の肩をポンと叩いた。
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