僕の愛しい泥棒娘

アウスレッドの不倫の噂

そんな時ユミアの耳にアウスレッドの不倫疑
惑の話がもたらされた。

かなり前から噂はあったらしいのだが、ユミ
アはずっと家に居て双子の育児に必死だった
ので、そんな噂は耳に入っていなかったが、
公爵家では皆が知っていたようだ。

ユミアは“シャウルー”の2号店の店長をして
いる男爵家の令嬢から聞かされた。

彼女がアライアスとユリアンナのお祝いに家
に来てくれた時の事だ。

彼女は自分ならやはり聞かせてもらいたいと
思うのでお伝えしますと前置きをしてその噂
を知りうる限り教えてくれた。

相手は某伯爵家の令嬢で物静かで社交界で
も目立たない存在の美しいご令嬢だという
事だ。

彼女はもう普通の結婚は臨めないような醜聞
になっているのだという。

１ケ月ほど前王城の夜会での事、休憩室とい
う名目の逢引き部屋から、その令嬢が乱れた
服装で飛び出して来たので、警護の騎士が部
屋に入るとアウスレッドが酩酊した様子で、
クラバットは取れて上着も来ていないしシャ
ツもボタンが3つほど外れているという筆頭
補佐官とは思えない格好でベッドに腰かけて
いた。

アウスレッドは警護の騎士に、ジョナリオを
すぐに呼ぶように頼んで、騎士には部屋に誰
も入れないように頼んでドアの前で見張りを
してもらった。

その後すぐにジョナリオが部屋に入って1時
間ほど後に右太ももを負傷したアウスレッド
が、運び出され王宮の彼の部屋にジョナリオ
が連れていって医師が呼ばれたという事らし
い。