僕の愛しい泥棒娘
それからその伯爵家は公爵家に娘を傷物にし
てどうしてくれるのだと抗議に行ったらしい
が、公爵家は歯牙にもかけず追い返したらし
い。

つまり義父も義母もすべて知っていると言う
事だ。知らないのはユミアだけなのだろう。

そう言えば、1月ほど前1週間ほど仕事が立
て込んでいると言って、アウスレッドは家
に帰ってこなかった。

結婚してそんな事は初めてだったので、よく
覚えていた。

足の怪我も気が付かなかった。双子を生んだ
後もう3か月以上になるが夜伽はしていない

そんな事を考える暇もなかった。双子の育児
に明け暮れて夕方になって夕食を食べると遅
いアウスレッドを待つ事も出来ず寝られる時
に寝る、そんな状態だったからだ。

アウスレッドに構ってやれていない事にも怪
我にも気づかないなんてどんな妻なのだ。

アウスレッドに呆れられても仕方がない。

彼がそのご令嬢が好きならユミアはいつでも
身を引く覚悟をした。でも、子供は渡せない

子供はその令嬢との間にもまたできるだろう
からユミアが心配する事ではないだろう。

ユミアはそう決めると子供達を乳母に頼んで
侍従に公爵家に行って義母に内密に話がある
のでこの後時間を作って欲しいと先ぶれを、
出してもらった。

直ぐに侍従は帰って来ていつでも待っている
と返事をもらったので、すぐに公爵家に向か
った。
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