僕の愛しい泥棒娘

ケイトは接客が上手なのでサリーヌと共に接
客に回ってもらっている。

二人とも来年には16歳になるので孤児院を退
所する為、住む処を探してやらなければなら
ない。

この国の成人は16歳なので孤児院には成人
になるまでしかいる事が出来ない。

平民はほとんど16歳で働きに出る。

貴族は最高府の学校で学ぶ人が多いので18
歳に卒業して働いたり花嫁修業をするよう
だ。

ユミアはやることが満載で時々パンクしそう
になるがそんな時には、一人こっそりと花を
買って、あの日氾濫して両親が流された
河のほとりに、やってくるのだ。

自分を助けるために命を懸けてくれた両親に
自分が今幸せに暮らしている事を報告し話を
していると、頭の中が整理されていく。

やることがいっぱいあってユミアを頼りにし
てくれる３人の家族がいる事をありがたく思
う。

彼女たちを守っていかなければいけないと、
やる気と勇気が湧いてくるのだ

そして両親に花を手向けて“また来るね“と
言って笑って皆の待つ家に帰っていくのだ
った。

ワイナリー公爵家に侵入した次の日、お昼が
過ぎてお客様のピークも過ぎた頃、一人の貴
族の令息が“シャウルー”にやってきた。

美しい金髪の髪を輝かせながら、海のように
青い美しい瞳をじっとユミアに向けている。

眉毛はちょっと濃い金髪で鼻は高くすっと通
っていて口は薄く口角が上がっている。

つまりとんでもなく美しい男なのだ。

背も高くユミアよりも頭一つは余裕で高い体
も鍛えているようで無駄な贅肉なんてどこに
もついていない。

乗馬服なのだろうが、膝までのブーツにズボ
ンのすそを入れてジャケットのボタンをきっ
ちりはめて誠実そうな印象を受ける。