僕の愛しい泥棒娘
泥棒娘と公爵令息
サリーヌもケイトも目をまん丸にして、その
貴族の令息を見つめていた。
ここに男性が来ることも珍しく、貴族が来る
こともほとんどない。
ましてこんなに美麗な男の人なんてみんな見
たこともなかったのだ。
絹を解いたようにさらっと流れる金髪に、海
を彷彿とさせる青く透き通るような瞳。
間違いなく高貴な身分の人だと分かる。
その上に引き締まった体に手足が長くそんな
彫像のような体躯の上に美しい顔が乗ってい
るのだ。
ぽかんと口を開けて放心してしまうのも仕方
がないだろう。
彼は真直ぐにユミアの所に向かうと、
「少し込み入ったお話をしたいんですが、
あっ、すみません、僕はアウスレッド・
ダミアサールと言います。公爵家の嫡男です」
そう言って公爵家の紋章を彫った木札をユミ
アに見せた。木札と言ってもとても立派なも
ので薄い木に紋章が彫られている。
木とは思えない薄さで光沢がありまるで金属
のようだ
「公爵家の紋章を知らないのでこれが本物か
どうかは私にはわかりかねますが、あなたが
お貴族様なのはよくわかります。そして、
ここは貴族の坊ちゃんが来るような所では
ありませんが…」
ユミアが不審そうに言うと、サリーヌが”ユ
ミア!”と言って袖をつかんで首を横に振る
もう少し言い方を考えろといいたいのだろ
う。
「そうですね。男性が買いに来るような物は
置いていないようですね。実は、あなたに仕
事の依頼を持ってきたのです。夜の…」
「へっ…」
と言って息をのんだのはサリーヌだ。
夜の仕事について随一知っているのはサリー
ヌだけなのだ。
「昨日の夜、ある公爵家の塀の上であなたを
見かけたんですよ」
今度はユミアが“ウツ”と息をのんだ。
「こんな所ではゆっくり話せないので、お店
が終わる頃馬車で迎えに来ます。その時に詳
しくお話ししましょう」
貴族の令息を見つめていた。
ここに男性が来ることも珍しく、貴族が来る
こともほとんどない。
ましてこんなに美麗な男の人なんてみんな見
たこともなかったのだ。
絹を解いたようにさらっと流れる金髪に、海
を彷彿とさせる青く透き通るような瞳。
間違いなく高貴な身分の人だと分かる。
その上に引き締まった体に手足が長くそんな
彫像のような体躯の上に美しい顔が乗ってい
るのだ。
ぽかんと口を開けて放心してしまうのも仕方
がないだろう。
彼は真直ぐにユミアの所に向かうと、
「少し込み入ったお話をしたいんですが、
あっ、すみません、僕はアウスレッド・
ダミアサールと言います。公爵家の嫡男です」
そう言って公爵家の紋章を彫った木札をユミ
アに見せた。木札と言ってもとても立派なも
ので薄い木に紋章が彫られている。
木とは思えない薄さで光沢がありまるで金属
のようだ
「公爵家の紋章を知らないのでこれが本物か
どうかは私にはわかりかねますが、あなたが
お貴族様なのはよくわかります。そして、
ここは貴族の坊ちゃんが来るような所では
ありませんが…」
ユミアが不審そうに言うと、サリーヌが”ユ
ミア!”と言って袖をつかんで首を横に振る
もう少し言い方を考えろといいたいのだろ
う。
「そうですね。男性が買いに来るような物は
置いていないようですね。実は、あなたに仕
事の依頼を持ってきたのです。夜の…」
「へっ…」
と言って息をのんだのはサリーヌだ。
夜の仕事について随一知っているのはサリー
ヌだけなのだ。
「昨日の夜、ある公爵家の塀の上であなたを
見かけたんですよ」
今度はユミアが“ウツ”と息をのんだ。
「こんな所ではゆっくり話せないので、お店
が終わる頃馬車で迎えに来ます。その時に詳
しくお話ししましょう」