僕の愛しい泥棒娘
だからこの1週間ダミアサール公爵家を真
夜中から見張っていたのだとそして、警備
の巡回の時間が分かれば家に侵入してテイ
アラを取り返すつもりだったと言った。

「でも、昨日の夜中に塀を超えて軽々と飛
び降りた君を見つけて、思わず後を付けた
んだ。男だと思っていたら大木の所で着替
えてるその人は女だった事にもびっくりし
たが、とにかく後を付けて君の家を見つけ
た」

「つまり、あなたの仕事とはワイナリー
公爵家からそのテイアラを取り返してほしい
と言う事ですか」

「うんそうだ。話が早くて助かる。
できるだろうか?」

「勿論できます。でもそれをやるなら、今晩
しかありません。時間がないですよ」

「なぜ?」

「今公爵夫妻は2泊で旅行に出かけているの
です。結婚記念日とかで…だから、昨日もう
最後のつもりだったので、宝石もいつもは1
つか2つしかとってこないんですが、結構た
くさんもらってきて公爵の書斎の隠し金庫か
らも現金をあるだけもらってきてしまったの
で明日帰って来て隠し金庫を開けたら気が付
くでしょうね」

「う~ん、そういう事か、じゃあ明日から
屋敷中に騎士がうろうろすることになるん
だな」

「いいえ、多分そうは成りません」

「えっ、でもそれだけのものを盗られて、
黙っているような人じゃないよ。いくら
取ってきたんだ」
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