僕の愛しい泥棒娘
「つまり、表に出せない金だから届けを出す
と藪蛇になるという事か、5000ギースもの
金に目を瞑るとはいったいいくら裏で儲けて
いるのだ。あの狸親父め」

「宰相!」

とアウスレッドが少し咎めるような声を出し
たが、

「皆思いは同じですよ。普段から鼻持ちなら
ない言動が目立ちます。ダミアサール公爵が
温厚で嫌味や皮肉にもいつもニコニコして、
気にも留めないのでいい気になっているので
す。その上悪行を働いているなんて言語道断
です。あの糞公爵」

と毒づいたのはユリウス近衛騎士団長だ。

今度は皆が笑いをかみ殺した。ジョナリオは
噴出している。

狸親父に糞公爵とはこの国の重鎮がよくいう
物だとアウスレッドは少し呆れたが、自分も
同じ気持なので責められない。

「それで話を戻しますが、件の侍女の推薦者
と出自の貴族家は誓約書にある2家ですね。
こことここです」

アウスレッドが誓約書のサインの所を指し示
した。

「そう言うことになってくれば、至急この誓
約書にある貴族家の動向を探る必要がありま
すね」

ユリウスが思案顔でそう言うとカリアス総長
が

「そちらの方は私が手配しよう。密偵を投入
しなければならないだろう。でもこれだけの
貴族家を調べるとなるとかなり時間がかかり
ますね。ワイナリー公爵の狙いが何なのかま
ずそれを見極めないといけないだろう」
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