いつか、桜の季節に 出逢えたら
「……さぁて、そろそろ病院に行きますか!」
気持ちを切り替えて、最期の時を迎えるために。
今日は、退院後三回目の定期受診日だったので、スムーズに受付ができた。
私自身(魂)は元気なのだが、やっぱり絵梨花の体は限界のようだ。
思うように体を動かせなくなっていた。
採血結果が相当悪かったらしく、想定通り、そのまま入院となった。
起き上がれなくなったので、個室のベッドに寝かされる。
「……猫又さん、私が抜けるのは、何時頃になるの?」
「多分、入ったのが14時頃だったから、同じ頃じゃにゃいか?」
「猫又さん、あなたが勝手にこの世界に私を連れてきた時は、なんて余計なことをと思ったけど……私、この世界に来られて良かった。もう言う機会がないかもしれないから、言っておくね……ありがとう」
「にゃんのこれしき。お前も、戻れたらいいにゃ。さらばにゃ」
両親に連絡をしてから、紫苑が病室に入ってきた。
「あなたがどこにいようと、俺が見つけるから、待ってて」
私は、紫苑に笑いかける。
「……今日ね、神様に、また紫苑と会えますようにって、お願いしちゃった。おかしいよね、他の人と幸せになってって、さっき言ったばかりなのに。自分がこんなに自己中だとは、思わなかった。神様にもお願いをしすぎって、怒られちゃうかも。……あの神様、縁結びのご利益があるらしいの……」
「じゃあ、参拝は欠かせないな」
紫苑が泣いている。
ごめんなさい、私のせいだね。
あなたを泣かせてしまっても、私はあなたに出会えて幸せでした。
「……ご縁があれば、また逢えるよ」
14時になる直前、父と母も駆け込んできた。
「絵梨花ちゃん、どうして!」
「絵梨花ぁ」
二人とも、私の手を握って泣いている。
お父さん、今回は間に合って良かったね。
お母さん、悲しませてごめんなさい。
三ヶ月間、本当にありがとうございました。
ーーあぁ、二人とも、泣かないで下さい。
本当は、本物の絵梨花じゃないのにーーごめんなさい。
「お父さん、お母さん、悲しまないで。絵梨花は、幸せでしたよ。絵梨花は、ずっと後悔していました。本当は、感謝の気持ちでいっぱいだったのに……ありがとうございました」
絵梨花が本当に伝えたかったこと、伝えられたかな。
「……私、この世界に来ることができて……良かった……」
ーーその瞬間、私の意識は、途切れた。
気持ちを切り替えて、最期の時を迎えるために。
今日は、退院後三回目の定期受診日だったので、スムーズに受付ができた。
私自身(魂)は元気なのだが、やっぱり絵梨花の体は限界のようだ。
思うように体を動かせなくなっていた。
採血結果が相当悪かったらしく、想定通り、そのまま入院となった。
起き上がれなくなったので、個室のベッドに寝かされる。
「……猫又さん、私が抜けるのは、何時頃になるの?」
「多分、入ったのが14時頃だったから、同じ頃じゃにゃいか?」
「猫又さん、あなたが勝手にこの世界に私を連れてきた時は、なんて余計なことをと思ったけど……私、この世界に来られて良かった。もう言う機会がないかもしれないから、言っておくね……ありがとう」
「にゃんのこれしき。お前も、戻れたらいいにゃ。さらばにゃ」
両親に連絡をしてから、紫苑が病室に入ってきた。
「あなたがどこにいようと、俺が見つけるから、待ってて」
私は、紫苑に笑いかける。
「……今日ね、神様に、また紫苑と会えますようにって、お願いしちゃった。おかしいよね、他の人と幸せになってって、さっき言ったばかりなのに。自分がこんなに自己中だとは、思わなかった。神様にもお願いをしすぎって、怒られちゃうかも。……あの神様、縁結びのご利益があるらしいの……」
「じゃあ、参拝は欠かせないな」
紫苑が泣いている。
ごめんなさい、私のせいだね。
あなたを泣かせてしまっても、私はあなたに出会えて幸せでした。
「……ご縁があれば、また逢えるよ」
14時になる直前、父と母も駆け込んできた。
「絵梨花ちゃん、どうして!」
「絵梨花ぁ」
二人とも、私の手を握って泣いている。
お父さん、今回は間に合って良かったね。
お母さん、悲しませてごめんなさい。
三ヶ月間、本当にありがとうございました。
ーーあぁ、二人とも、泣かないで下さい。
本当は、本物の絵梨花じゃないのにーーごめんなさい。
「お父さん、お母さん、悲しまないで。絵梨花は、幸せでしたよ。絵梨花は、ずっと後悔していました。本当は、感謝の気持ちでいっぱいだったのに……ありがとうございました」
絵梨花が本当に伝えたかったこと、伝えられたかな。
「……私、この世界に来ることができて……良かった……」
ーーその瞬間、私の意識は、途切れた。