召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
「え? 一体、何が起こったの?」

 帰り道にこんな公園なんてなかったし、そんな物語みたいに異世界だなんて……。

「はぁ、疲れているのかな」

 そうよ。図書館勤めって楽でいいわよねって、よく言われるけど、意外とデスクワークばかりではない。書棚に本を戻したり、カウンターに置かれた返却の本を運んだり、カートで運んでいても、結局は人力がものをいう仕事だった。

 パートさんたちではできない事務仕事もあるし……人員削減で職員の負担ばかり増やされるし、で。

「無理もないか」
「お取り込み中すみませんが、よろしいですか?」
「っ!?」

 ため息を吐いた瞬間、後ろから話しかけられた。男性だと分かる低い声。見知らぬ場所にいるという恐怖心も相まって、すぐに振り返ることができなかった。

「見たところ、お困りなのは分かりますが、ここにいるのは危ないです」
「えっ!? 危ないってどういう……こと、ですか?」

 聞き捨てならない言葉に思わず振り返ると、これまでお目にかかったことがないほどの美貌を兼ね備えた人物が、私を見下ろしていた。声からすると、男性だろうか。

 いやいや、そんなことよりも、ここはもしかして……。

「天国ですか?」
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