召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
「その模様には、ウサギが描かれているんです。ほら、これなんですが」

 青年は近くにある机の上に、持っていた紙を広げた。遺跡とはいっていたものの、その建物は描かれておらず、模様だけを写し取ったのだろう。
 蔦のようにクルッと曲線を描いた模様。宝石でも嵌めてあったのか、丸い模様が点々とあった。その統一されたかのように美しい模様の中に、ウサギが描かれていた。まるでそれが特別であると主張しているようにさえ見える。

「確かに、これほどくっきりとウサギが描かれていると、何か意味がありそうですね」
「特にこのウサギ。よく皆さんが連想する、耳が立っているウサギではないんです」
「あっ、本当だ。垂れ耳ですね」

 まるで私の持っているタロットカードの白ウサギみたい。ずっと触れていたからか、垂れ耳ウサギを見ても、何も違和感を抱かなかった。

「……では、どうしましょうか。建築の方をまず調べてみてから、歴史、生物の方を調べるか。それとも、手分けして資料を集めますか?」
「そこまで面倒を見てもらえるのは助かりますが、いいんですか? 僕一人に掛かりっきりになってしまいますよ」
「私の場合は、大丈夫だと思います」

 青年が首を傾げている。
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