召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
「そういえば先週、あの男との調べ物の最中に居眠りをしてしまったってアゼリアから聞いたわ。もしかしたらその時に――……」
「なっ! つまり、アゼリアの寝顔を見たんですね、奴は」

 奴って……アゼリアが倒れているのを発見した同僚もそうだけど、私も今、寝顔を見ているんだけどな。まぁ、それは面倒だから黙っておこう。

「怒るのは勝手だけど、今はアゼリアにかけられた眠慰(ネムリエ)の解除でしょう」

 私がやってもいいんだけど、アゼリアへの執着が強くなっているような気がするから、余計なことをして怒られたくない。

 グリフィスも「そうでした」といいながら、ウサギの姿で容易く解除する。その様は、さすが稀代の魔女の弟だと思えた。だが、解除した後のことを考えていなかったのは……それだけアゼリアが心配だった、ということにしておこう。

 けしてグリフィスの正体を、アゼリアにバラそうと画策したわけではない。そう、これは後先考えずに使用したグリフィスが悪いのであって、私は何も悪くないんだから!
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