召喚された司書の相談所〜偽装結婚ですが旦那様にひたすら尽くされています〜
「ふふふっ、冗談よ。おそらくあの男は、禁書区画に向かったと思うわ。相談所の扉にいた職員が、図書館の中へ歩いて行くのを見かけたって言っていたから」
「その後、外に出た可能性はないの?」
「図書館内で魔術を使えば、誰かしら気づくわ。それにあの男が去った後、アゼリアが倒れているのを発見するまで、そんなに時間はかかっていないから、信用していいと思う。なんたって、この図書館は利用者が少ないから。もしも気になるのなら、並んでいた人に聞いてもいいけど」
「ううん。マックスは禁書区画に入りたがっていたから、そっちの可能性の方が大きいと思う」
「禁書区画には、ウルリーケが所持していた魔術書が大量に所蔵されています。私もその線が妥当かと」

 私とグリフィスは頷き合い、相談所の扉を開けた。すでにどれくらいの時間が経っているのかは分からないけれど、図書館の内部は普段と変わらず静かだった。つまり、まだ間に合う可能性が高い、ということである。

 急ごう。マックスのところへ。
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