元文化部と元運動部の深夜ウォーキング
お酒がまだ残っているから? こんな状況だから? 
 
様々な言い訳を作ろうと思えば作れて、まだこの感情を認めたくない。だって今認めてしまったら、純粋にこの時間を楽しめなくなってしまう。

「あ、コンビニ」

笠木くんの声に私がパッと遠くに視線を向けると、コンビニの看板が真っ暗な景色に光って見える。

深夜のコンビニの光はどこか特別感があって好きだった。

昼間のコンビニでは味わえない静かな雰囲気と独特の空気感。

コンビニに入ると冷房が聞いていて、少し(にじ)んでいた汗がスッと冷たく引いていくのが分かった。

「長谷川さんはどのアイスにする?」

その笠木くんの聞き方で、私は今回も笠木くんが奢ろうとしていることに気づいた。
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