きみと、まるはだかの恋
「おにぎり、本当においしかったです。ごちそうさまでした」

「こちらこそ食べてくれてありがとう。おにぎりのお米はね、うちの畑で作ったものなの」

「そうだったんですね。星見里に来るのは二回目なんですが、みなさん自給自足生活が当たり前のようですよね」

「ええ。魚介は川魚しか獲れないけれど、お米や野菜なんかはほぼすべて地産地消よ。都会じゃ考えられないでしょ?」

「は、はい。……て、私が都会から来たってお話しましたっけ」

「見れば分かるわよ。あなたみたいなキラキラしたべっぴんさん、この辺にいないもの」

「はは……」

 言われ慣れているはずなのに、一対一で素直に褒められているのが照れ臭くて、反応に困っていると、店員さんが食後のコーヒーを運んできてくれた。

「温かいうちにどうぞ。ゆっくりしていってね」

「はい。ありがとうございます」

 差し出されたカップになみなみと注がれたコーヒーの水面に映り込む自分の顔は、昨日よりやわらかに見えた。
 コーヒーを飲みながら、帰りのバスのことを考える。予約をしようとスマホでSafariを開こうとしたけれど、「ネットワークに接続できません」という画面が表示されて、はたと気づく。

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