きみと、まるはだかの恋
 意味深に私たちを交互に見つめて、にっこりと笑顔を向けてくる。おまけに私にウインクまでしてきたので、彼女が考えていることは大体理解できた。

「違いますよ。恋人とかそういうんじゃないです。ただの友達ですっ」

 誤解なきように真実を伝えておく。

「そうなのー。でもまあ久しぶりなんだったらぜひ楽しんで〜」

 ……三上さん、絶対楽しんでるのはあなたですよね?
 とはもちろん口に出すことはできず、にっこりと営業スマイルを貼り付けたまま「ありがとうございます」と小さく礼をした。 
 その後、昴はホットコーヒーを頼むと、あろうことか私が座っているテーブル席の正面に腰掛けた。どうしてここ!? と内心思ったけれど口に出すことはできず、ただ心臓の音トクトクと速くなるのを感じていた。

「あ、ごめん邪魔?」

「いや、邪魔とかじゃないけど」

「じゃあ、目障り?」

「それどっちも大体同じ意味でしょ」

「ぷっ。それもそうだな」

 どうしてか吹き出した昴は鼻の頭を軽く掻いた。こうして間近で彼を見るのも新鮮で、さっきからずっと心臓の音は鳴り止まない。
 どうしちゃったんだろう、私……。
 確かに昴は私の初恋の相手だけれど、それは高校時代の話で。今、彼に対しては旧友としての懐かしさしかないはずだ。それなのに、胸が高鳴っているなんておかしい。
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