きみと、まるはだかの恋
「おう波奈、おはよう」
つなぎ姿の彼が腰を伸ばして私に向かって片手を挙げる。
そっか。そうだよね。農家の朝は早いっていうもんね。というか私だって普段は朝早くから仕事のために活動しているはずなのに、昨日の今日ですっかり長い時間眠ってしまっていた。幸い今日は特に打ち合わせ等の仕事は入れていなかったので、自分の采配で仕事ができるからいいけど……って、ここ、電波ないんじゃん! 仕事できないじゃんっ。
それに、昴は昨夜のことをやっぱり覚えていないのだろうか。というか、私にキスされたことに気づいていないのかも。なんだか釈然としないけれど、あのときのことをいろいろとつっこまれるよりはましか。さわやかな朝に農作業をする彼は、特にいつもと変わりのない飄々とした様子だ。
「昴、私もう帰るよ」
照れ臭さや、後ろめたさに蓋をするように若干声を張り上げてそう伝えると、昴は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして驚く。
「え? もう? てか朝ごはん食べた?」
「いや、食べてない。昴がいなかったから起きてすぐ探しに来た」
「それなら朝ごはん食べてよ。せっかく用意したんだし」
「でも」
「いいから、先に食べてきて。んで、今日は俺の仕事手伝ってくれない?」
「え!? 仕事? いや私、東京戻ってそれこそ仕事しなくちゃいけないんだけど……」
「一日くらいいいじゃん。どうせ波奈のことだから、毎日そっちの仕事に追われてるんだろ? 昨日と今日で二連休にしたらいい。普通の会社員ならみんなそうしてるだろ」
つなぎ姿の彼が腰を伸ばして私に向かって片手を挙げる。
そっか。そうだよね。農家の朝は早いっていうもんね。というか私だって普段は朝早くから仕事のために活動しているはずなのに、昨日の今日ですっかり長い時間眠ってしまっていた。幸い今日は特に打ち合わせ等の仕事は入れていなかったので、自分の采配で仕事ができるからいいけど……って、ここ、電波ないんじゃん! 仕事できないじゃんっ。
それに、昴は昨夜のことをやっぱり覚えていないのだろうか。というか、私にキスされたことに気づいていないのかも。なんだか釈然としないけれど、あのときのことをいろいろとつっこまれるよりはましか。さわやかな朝に農作業をする彼は、特にいつもと変わりのない飄々とした様子だ。
「昴、私もう帰るよ」
照れ臭さや、後ろめたさに蓋をするように若干声を張り上げてそう伝えると、昴は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして驚く。
「え? もう? てか朝ごはん食べた?」
「いや、食べてない。昴がいなかったから起きてすぐ探しに来た」
「それなら朝ごはん食べてよ。せっかく用意したんだし」
「でも」
「いいから、先に食べてきて。んで、今日は俺の仕事手伝ってくれない?」
「え!? 仕事? いや私、東京戻ってそれこそ仕事しなくちゃいけないんだけど……」
「一日くらいいいじゃん。どうせ波奈のことだから、毎日そっちの仕事に追われてるんだろ? 昨日と今日で二連休にしたらいい。普通の会社員ならみんなそうしてるだろ」