幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
それからしばらくして、私は気づいた。

──月のものが、遅れている。

「でも……まだ一週間ぐらいしか。」

そう自分に言い聞かせる。けれど、これまで一度も遅れたことなどなかった。

「セシリア様、もしかして体調が悪いのですか?」

心配そうに覗き込む侍女に、私は慌てて微笑んだ。

「ええ、少しだけ……大丈夫よ。そのうちに来るわ。」

声は平静を装っていたけれど、胸の奥はざわめいていた。

──結婚前に子供ができるなんて、あってはならない。

それでも時は過ぎていく。

一週間、また一週間……二週間が経っても、兆しは訪れなかった。

夜ごとユリウスに抱かれ、幸せに震えるたびに、心の片隅で小さな不安が膨らんでいく。

「まさか……」

唇を噛みしめ、胸に手を当てる。

もし本当に……。

考えた瞬間、顔が熱くなった。

──まだ誰にも言えない。

けれど、確実に何かが変わり始めていることだけは、私にも分かっていた。
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