幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「ユリウス、おまえも謝れ!」

国王の厳しい声に促され、ユリウスは父の前に立たされた。

「アルヴェール公爵閣下。今回の件は、すべて私が責任を負います。」

深く頭を下げるその姿に、私は胸を締めつけられる。

父はしばらく黙していたが、やがてため息をついた。

「おやおや……娘は責任で結婚させられるのか。」

その言葉に、ユリウスは顔を上げた。

「いえ、違います。」

真っ直ぐに父を見据え、力強く告げる。

「セシリアは、俺に望まれて結婚するんです。責任ではなく、愛するからこそ──」

一瞬の沈黙の後、父は静かに微笑んだ。

「ならば、よろしいかと。」

その柔らかな言葉に、ユリウスの瞳が潤んだ。

「公爵閣下……ありがとうございます。」

頬を伝う涙は、彼の真摯な想いの証。

私はその姿を見て、胸が熱くなり、改めて確信した。

──この人となら、どんな未来も歩んでいける。
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