幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
その夜、私の部屋の扉が静かに開いた。

「セシリア。」

現れたユリウスの姿に、胸が熱くなる。

「どうした? 元気がないようだ。」

心配そうに近づくと、そのまま力強く抱きしめられた。

「ユリウス……」

昼間の侍女たちの囁きが耳に蘇り、思わず胸が詰まる。

「気にするな。」

彼は私の耳元で囁いた。

「俺がすべて守る。誰が何を言おうと関係ない。君は俺の妃だ。」

あまりにも真っ直ぐな言葉に、目頭が熱くなる。

「でも……私、王宮に馴染めなくて。」

「馴染む必要なんてない。」

ユリウスは首を振り、私の頬に口づけを落とした。

「俺が隣にいる。それだけでいい。」

強く抱きしめられる温もりに、不安が少しずつ溶けていく。

昼間の痛みも囁きも、この胸の中では遠いものに思えた。

──王宮は恐ろしい場所かもしれない。

けれど、この人の愛があれば、きっと私は歩いていける。
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