幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛

第9章 結婚式の準備と幸せな日々

「一か月後に、結婚式を執り行う。」

国王の言葉は、王宮中に告げられた。

あまりにも早い決定に驚いたけれど──きっと私のお腹が大きくなる前に、と配慮してくださったのだろう。

その夜、ユリウスは私の部屋にやって来た。

机の上に広げられた結婚式の予定表に目を通し、真剣な表情で頷く。

「式は大広間か。」

「はい。……ウェディングドレスは、間に合うでしょうか。」

私が不安を口にすると、ユリウスは微笑んだ。

「セシリアが望むなら、必ず間に合わせる。どんな職人でも総動員しよう。」

「私は……薔薇の刺繍を入れたいです。」

その言葉に、彼の瞳が柔らかく光る。

「なら、俺のマントにも薔薇を刺繍しようか。……君と対になるように。」

胸が熱くなり、思わず顔を伏せた。

二人で同じ薔薇を纏う──それは、幼い頃から続く想いが、ようやく形になる証のように思えた。
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