幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「参加者のリストアップか。」

ユリウスは机に置かれた羊皮紙を覗き込み、ため息をついた。

「と言っても、貴族たちは招待しなくても勝手に押しかけてくるんだろうなぁ。」

少し困ったように眉をひそめる顔に、私は思わず笑みを零す。

「本当なら、友人たちだけでいいんだけどな。」

「……友人、ですか?」

私は気になって尋ねていた。

ユリウスの瞳がふっと和らぐ。

「ああ、スクール時代の同級生だよ。俺が皇子だってわかっていても、遠慮なく肩を叩いてきて……むしろ面倒ごとに巻き込んでくるくらいでな。」

思い出すように笑う彼は、王宮の厳しい空気の中で見せることのない無邪気な青年の顔をしていた。

「セシリアにも会わせたいよ。」

その言葉に胸が熱くなる。

彼にとって、私を友人たちに紹介することは「特別な存在だ」と示すことなのだ。

「はい……楽しみにしています。」

そう答えると、ユリウスは満足げに微笑み、そっと私の手を取った。

その温もりに、未来が少しずつ現実のものになっていくのを感じた。
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