幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
そしてついに、ユリウスはベールにまで口を出してきた。

「長いのがいい。……引きずるくらいのを頼む。」

「長いベールですか……では、床に軽くつく程度でしょうか?」

仕立て屋は私ではなく、当然のようにユリウスへと視線を向けた。

「いや、それじゃ足りない。薔薇の花びらの上を歩くように、ずっと後ろまで流れるようにしてほしい。」

真剣そのものの声に、私は思わず笑いそうになる。

「分かりました……ええっと、引きずるとはどのくらいでしょう?」

仕立て屋もすっかり彼に相談している。

「もう……ユリウスの衣装は大丈夫なの?」

堪えきれず問いかけると、彼はハッとしたように手を打った。

「いけない! 結婚式用の軍服の採寸があるんだった。」

どうやらすっかり忘れていたらしい。

その姿に仕立て屋も苦笑する。

「殿下は奥方のご衣裳に夢中で、ご自分のことを忘れていらっしゃるようですね。」

私は頬を赤らめながら微笑んだ。

──こんなにも私に夢中になってくれるなんて。

胸が甘く熱くなり、幸せがじんわりと広がっていった。
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