幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
窓辺に座り、私は黙々と針を動かしていた。

真っ白な布地に、白い薔薇の花弁が一つ、また一つと咲いていく。

ふと気配を感じて顔を上げると、ユリウスが椅子に腰を掛け、じっとこちらを見ていた。

「ユリウス……? そんなに見つめないでください。」

「仕方ないだろう。」

彼は頬杖をつき、目を細めて微笑んだ。

「針を動かす君が、あまりにも美しいから。」

思わず耳まで熱くなる。

「これは花嫁の務めです。そんな大げさに言わないで。」

「いや、俺にはそう見えるんだ。」

ユリウスは立ち上がり、私の背後に回るとそっと肩を抱いた。

「一針ごとに俺との未来を織り込んでくれている……そう思うと、胸がいっぱいになる。」

「ユリウス……」

彼の言葉に、胸の奥がじんと震えた。

「セシリア。君は俺の宝物だ。」

耳元で囁かれ、私は針を持つ手を止めてしまう。

刺繍よりもずっと強く、彼の溺愛が心を彩っていった。
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