幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「それは、どういう事か分かっているのか!」

国王の怒声が大広間に響き渡り、重苦しい空気が走った。

だがユリウス殿下は一歩も退かない。

「私は今、真実の愛を見つけました。偽りの婚約に何の意味がありましょう。」

ざわめきが広がる中、彼は私を強く抱き寄せる。

その腕の熱が、全身を包み込む。

「彼女こそが、私の妃に相応しい女性です。」

その宣言に、大広間はさらに騒然となった。

「公爵令嬢セシリアを……?」

「婚約破棄と同時に、新たな妃候補を……!」

貴族たちが口々に囁き、動揺の渦が広がっていく。

隣国からの使節団は憤然と立ち上がり、王女イザベラの顔は怒りに染まる。

一方で、我が国の貴族たちの間にも戸惑いと驚きが走り、父の横顔は蒼白に見えた。

その中心で、ただ一人ユリウス殿下だけが毅然としていた。

──婚約破棄と同時に、私を新たな妃として指し示したのだ。

胸の鼓動は抑えられなかった。

この瞬間から、私の運命は大きく変わってしまったのだと悟りながら。
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