幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛

第2章 幼馴染みの告白と甘い夢

「セシリア、急げ!」

父は私の腕を取り、混乱に包まれた宮殿から足早に歩を進めた。

控えていた馬車が門の前に用意されている。

「セシリア!」

その声に振り返ると、ユリウス殿下が人を押し分けてこちらへ駆け寄ってくる。

必死の表情に、胸が揺さぶられる。

「ユリウス殿下、危険です。下がってください!」

父が立ちはだかり、両手を広げて皇子を制した。

「公爵閣下、どうか……セシリアと話をさせてください!」

殿下は皇子でありながら、父に深々と頭を下げる。

その姿に、思わず息を呑んだ。

けれど父は一歩も退かない。

「殿下、どうか頭を冷やして下さい。今のままでは国を危うくされる。」

厳しい声に押され、私は馬車へと急がされる。

「父上、私は──!」

「殿下、これ以上はお控えを!」

私は振り返る間もなく、馬車へと押し込まれた。

扉が閉じられる瞬間、ユリウス殿下の必死の声が響く。

「セシリア──!」

その声は、胸を裂くように深く突き刺さり、私の心を捕らえて離さなかった。
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